2010年一年間に読んだ本

[book]2010年1月〜12月の読書

2010年の読書メーター
読んだ本の数:170冊
読んだページ数:37636ページ

転移転移
結局、これを読みながら年明けしてしまった…。転移が発覚してから、意識を失う直前まで書き続けられた、その事実に愕然とする。本当に、最後の最後までよくぞと思う… 壮絶な人生だったろうと思う。病気のことだけでなく、精神的ストレスや母との関わりなど伺いしれて、胸が痛くなる。けれど、そんなだったからこそ書くことが重要だったのだろう、グインその他たくさんの作品が生み出されていったのだろう…。今は、栗本さんの魂が安らかでありますように、手を合わせたい気持ちでいっぱいです。
読了日:01月01日 著者:中島 梓
球体の蛇球体の蛇
みんながみんな互いに嘘をつきあっているようで、結局真相はどうだったのかよくわからない、不透明な終わりかたでした。 いつもの道尾さんとちょっと違うなぁ、と思った…。
読了日:01月04日 著者:道尾 秀介
ザ・ギバー―記憶を伝える者 (ユースセレクション)ザ・ギバー―記憶を伝える者 (ユースセレクション)
人間にとっての幸福とは?感情を抑制され、危険なことはすべて排除された社会で、人は本当に生きているといえるのか!?感じることができないのだから、幸福かどうかなどということもわからないだろう。おそろしくのっぺりとした形でしか実感することはないのだろう。このことに目を開かされた主人公の少年は幸いだった。彼のこれからが気になってしょうがない。復刊されたのを機に、続編も翻訳してほしい。
読了日:01月05日 著者:ロイス・ローリー
ドリーム・ギバー―夢紡ぐ精霊たち (ハートウォームブックス)ドリーム・ギバー―夢紡ぐ精霊たち (ハートウォームブックス)
『ギバー』とはまた違った世界。最初、メルヘン?と思ったが・・・ 酒井駒子さんの表紙絵がぴったり。幸福な時の記憶って、人にとってはすごい力になるんだな、ていうお話だった。夢見る力・・・忘れちゃいけません。
読了日:01月07日 著者:ロイス ローリー
ピーターと象と魔術師ピーターと象と魔術師
象を魔術で呼び出した魔術師と、少年ピーターのお話…。というと何かと思われるだろうけど。幻想的な雰囲気があってよいけれど。どこもかしこも淡い感じがしちゃって、インパクトに欠ける。ピーターとルッツさんの関係も最初は何だかぴんとこなかった。が、最後のシーンはよいと思う。心が解き放たれた感じ。19世紀末の時代だからこその結末かな。象もあの時代には、ドラゴンと同じくらい希有な存在だったのかも。
読了日:01月09日 著者:ケイト・ディカミロ
とむらう女 (オールタイム・ベストYA)とむらう女 (オールタイム・ベストYA)
舞台は19世紀半ばのアメリカのミネソタ州、大草原地方。大好きだったママを亡くしたばかりの少女イーヴィーの前に現れたのはパパのお姉さんのフローおばさん。亡くしたばかりの母の代わりにやってきたおばさんに、最初イーヴィーは反発するばかりだったけれど… 死者をおくる仕事をするおばさんの姿を見ているうちにイーヴィーは……。まるで『大草原の小さな家』を思い出させるような感動の物語です。
読了日:01月10日 著者:ロレッタ・エルズワース
あしながおじさん (福音館古典童話シリーズ (2))あしながおじさん (福音館古典童話シリーズ (2))
生き生きした、ジュディの大学生活のあれこれは、今読んでも全く色褪せない魅力があります。いささか訳文が古めかしいけれども、割り引いても十分お釣りがきます。子どもの頃、名作全集か何かに入っているものを読みました。あしながおじさんの正体がわかったときのジュディの驚き、あしながおじさんが誰だか全く気がつかなかったのかい?という言葉、覚えてました。子どもの頃のどきどきまで感じてしまった。楽しかったです。
読了日:01月11日 著者:ジーン ウェブスター
朝のこどもの玩具箱(おもちゃばこ)朝のこどもの玩具箱(おもちゃばこ)
玩具箱のように、いろんなお話が詰まった短編集。ちょっと不思議な、異界との接触が描かれているが、それだけではなく親子の、友人同士の、愛する者同士の……人と人との深い繋がりが中心にすえられており、それが心地よく感じられた。6編それぞれ魅力ある小品だった。
読了日:01月11日 著者:あさの あつこ
夜のだれかの玩具箱夜のだれかの玩具箱
最初が朝だから、次は夜、なんだろうけど、おとな、ではなくだれか、というタイトルになったのが洒落ていてよい。
どの作品もそれぞれよかったが、朝の物語よりも、夜の物語の方が人の心にひそむ闇について書かれているものが多く、考えさせるものは多かった。
読了日:01月12日 著者:あさの あつこ
お菓子と麦酒 (角川文庫)お菓子と麦酒 (角川文庫)
モームの自伝的小説。作家論を語っている部分が面白い。大作家の過去の思い出を語る部分がメインとなっているが、ここに出てくる人物造形が見事で、話に引き込まれ、最後まで読んだ。『お菓子と麦酒』というタイトルの意味、解説を読んでようやくわかってなるほど!と思った。
読了日:01月24日 著者:サマセット・モーム
楽しいスケート遠足 (世界傑作童話シリーズ)楽しいスケート遠足 (世界傑作童話シリーズ)
オランダというだけで珍しいのに、スケート遠足とは。凍った運河をスケートですべっていくなんて楽しそう。途中には、お菓子や飲み物のお店なども出ていて、いかにも子供が喜びそうだし。何より、川も湖も凍りつくほどの寒い冬に負けじと、楽しんでしまうというのがすごい。作者は文だけでなく、挿し絵も描いているけれど、その絵がとてもいい。オランダの風物をよく捉えているし、スケートする人々が生き生きと描かれている。少し抑えた色調がかえって想像力をかき立てられる。今から四分の三世紀前に出版された、というのもまた驚きだ。
読了日:01月26日 著者:ヒルダ・ファン・ストックム
神様のカルテ神様のカルテ
ほとんどストーリーらしいストーリーもなく、ただ淡々と市井の人々の、生き死にが描かれているだけだけれど、何となく読んでしまった。病と死という重いテーマにも関わらず、爽やかなムードが漂うのは一止の細君のおかげなのだろう。この、漱石を気どったような文体に戸惑いを覚えたことも事実だけれど。最終章での、安曇さんとのやりとりではこれもありなのかもと思った。病は孤独なもの、という言葉が心に残った。それだけに町のお医者さんの役割は大きいものなんだろう。主人公の選択は間違っていなかった。
読了日:01月30日 著者:夏川 草介
つくも神さん、お茶くださいつくも神さん、お茶ください
あちこちに掲載されたエッセイ。なんだけど、やっぱり「しゃばけ」の世界で遊んでいる、という感じ。本のことを書いている章がよかった。
読了日:02月07日 著者:畠中 恵
にいちゃんのランドセル (世の中への扉)にいちゃんのランドセル (世の中への扉)
阪神淡路大震災から15年… 命の大切さ、尊さを訴えかけるこの作品を、多くの子どもたち、大人たちに読んでほしい。
『…死んでしまうこと。それは、輝く人生を終え、他の人の心の中で、永遠に生きてゆくこと』
六年生の女の子の書いた「命」という作文が強く心に残った。その後の家族の物語が胸に迫ってくる。
読了日:02月07日 著者:城島 充
反撃 (teens’ best selections)反撃 (teens’ best selections)
短編集だけど、それぞれにちょっとずつ、繋がりがあって楽しい。今の中学生が読んでどう思うかはわからないけど、昔々、中学生だったおばさんは感動しました。いろいろあっても、最後は明日を見据えて爽やかに終わっているのがいい。まさに明日への反撃だ!
読了日:02月09日 著者:草野 たき
グリム姉妹の事件簿1 事件のかげに巨人あり (創元ブックランド)グリム姉妹の事件簿1 事件のかげに巨人あり (創元ブックランド)
祖母と名乗る人物レルダに引き取られて町にやってきた、サブリナとダフネの姉妹。わけもわからぬうちに事件に巻き込まれ、おまけにおばあちゃんが巨人にさらわれて… おばあちゃんを助けるために大奮闘する姉妹の活躍を見ているだけで楽しい。その上、お馴染みのおとぎ話の登場人物たちが、次々に出てくる出てくる!これはかなり楽しい、わくわくどきどきの童話世界に遊んでしまう。
読了日:02月11日 著者:マイケル・バックリー
まけるな!キジバトまけるな!キジバト
小学四年生の女の子原案の絵本。「夢プロジェクト授業」という、学校の取り組みでこの絵本を作ったそうです。絵と文章は大人の方ですけど、自然を愛する気持ちが伝わってきます。きっとたくさんの自然に囲まれた生活をされてたんでしょうね。絵本も素晴らしいけど、小学校の取り組みも素晴らしいです。身近な自然を大切にするところから、環境を守る第一歩が始まる。みんながみんなこういう気持ちを忘れないようにしてればね。地球温暖化を止める小さな一歩になるかもしれない。
読了日:02月11日 著者:朝川 照雄,五刀 円
グリム姉妹の事件簿2 学校の怪事件 (創元ブックランド) (sogen bookland)グリム姉妹の事件簿2 学校の怪事件 (創元ブックランド) (sogen bookland)
ついに学校に通うことになったグリム姉妹。だけれども、平凡な学校生活は望めるはずはなかった…。学校で起こった殺人事件の解決目指して突っ走るサブリナ! 彼女の怒りはすさまじく、まさに思春期そのもの。妹にお説教くらうくらい、目も当てられない。妖精パックとの掛け合いも面白い。そしてついに暴かれた真実。最後は、ここで終わるのか!? ってぐらいの引きで…解説にも次巻についての情報もなくがっかりさせられた。とりあえず、関連作品でも手に取ろうかな。
読了日:02月14日 著者:マイケル・バックリー
川べのちいさなモグラ紳士川べのちいさなモグラ紳士
とても懐かしい手触りがしました。最初、喋るモグラ?と違和感あったけど。最後は納得。ピアスって感じ。
読了日:02月18日 著者:フィリパ・ピアス
本だらけの家でくらしたら本だらけの家でくらしたら
本だらけの家!なんて私にぴったり!そう思った読書家の方は多いでしょうね〜 一冊の本を探しに、本だらけの家に潜入した主人公の女の子が、家の持ち主のおばあさんに読書家判別テストされるシーン。あれはたまりません。懐かしい書名や耳にしたことあれどまだ読んでない本のタイトルがばんばん出てきてそれだけでも楽しいです。お約束の少女の成長物語でもあるのも○。面白い上に感動もしてしまうこの本、人に勧めずにおれません。作者がしょっちゅう出てきちゃうのもご愛嬌。最後には大きな気持ちで許せることでしょう!
読了日:02月21日 著者:N. E. ボード
プライド 12 (クイーンズコミックス)プライド 12 (クイーンズコミックス)
まさかこんなふうに終わるとは!全然、思ってもいなかったです。一応、ハッピーエンドなのかな?複雑ですが。生きていてほしかったですね。その後が気になります。神野さんファミリーは明るそうでよいですが。
読了日:02月27日 著者:一条 ゆかり
ミアの選択 (SUPER!YA)ミアの選択 (SUPER!YA)
ミアの選択、って?なるほどこういうことだったんですね。家族を失ったと思ったミアが、あることに気づくまで…。若いときのみにありえるような、ひたむきな愛がつめられてます。若い人たちに勧めたい。純な心を持った方に…。
音楽がひとつのキーワード。大きな役割を果たしています。
読了日:02月28日 著者:ゲイル フォルマン
オール・マイ・ラヴィングオール・マイ・ラヴィング
ビートルズ好きの女子中学生の話。とくに何にも事件は起こらず、淡々と話が続いている感じで、盛り上がりには欠けたが、普通の中学生だったらこれで当たり前なのかもしれない。
ビートルズの音楽に熱狂し、来日コンサートに駆けつけようと東奔西走する少女たち。そんな少女たちがかつての日本には、たくさんいたのかも。文房具屋ニーちゃんのおばあちゃんなど、味があって印象が強い。時代の風物が描かれているのもまたよかった。
読了日:03月06日 著者:岩瀬 成子
キケンキケン
女子にはわからない、バカばっかりやってる男子の空間。楽しませていただきました。ほんとに、なんでこんなことに夢中になれるのっ?って不思議でたまらないんだけど。最後の章ではしんみり…。黒板の文字がいいですね〜 時間がたっても、いつでも戻れる、あのころを持っている、ってのが何だかとても羨ましいです。 キケンのラーメン食べてみたい!!
読了日:03月07日 著者:有川 浩
もいちどあなたにあいたいなもいちどあなたにあいたいな
すごい久しぶりに読んだけど、何だか盛り上がりに欠けたまま終わってしまった感が…。もっと何かあるかと思った。面白くないこともないが、何だかすっきりしなかった。陽湖さんの心情には共感できたけど。やまとばちゃん、やまとばちゃんって、理性の飛んでしまう主人公はちょっとね… 和本人の視点をもっと欲しかったなぁなんて感じてしまいました。
読了日:03月10日 著者:新井 素子
ブルーブルー
「死」というものがこの作品には、たくさん出てくる。母親の胎内から失われた命、癌で亡くなった実の父親の命、不慮の事故で亡くなった、中学の体育担当の若い女性教師の命…
中学生の杏と正体不明の中年女性サヨコさんとの偶然の出会いによって、すでに過去のものになっていたそれらがよみがえり、再び描き出される。これは心の物語。ともすれば逃げ水のように、きらめき消えていってしまうものが。ふと立ち止まり、なくしたものについて考えはじめた時、心は、魂はよみがえる。ブルーというタイトルがすべてを現している。*コメント欄に続く
読了日:03月13日 著者:久美 沙織
つづきの図書館つづきの図書館
物語のつづきを知りたい、っていうのはよくあることだけど、その逆…本の中の登場人物たちが読んでくれた人のつづきを知りたい、っていう設定は初めてのような気がしました。そこがおもしろいと思いました。大人でも楽しめますが、もちろん子どもたちにも読んでもらいたい。自分が読んだ本の登場人物たちが、僕の(私の)つづきを知りたい、って思ってくれないかなぁ…? そんな反応を期待してしまいますね。
読了日:03月14日 著者:柏葉 幸子
NのためにNのために
今までの作品のような、毒は感じられなかった。愛を追求する話。ちょっとわかりにくいところがあって、すっきり爽快に騙される、というミステリーとしての面白さに欠けるような、そんな読後感。何度も読んだら、それなりの味が出てくるのかもしれないが… 図書館本なので、もう読まないだろう。新刊が出たらおそらくまた読むだろうけど。
読了日:03月18日 著者:湊 かなえ
リリス (ちくま文庫)リリス (ちくま文庫)
これはまさに夢と神話の世界!図書館司書が鴉に変身する、鏡の中に入り込んでしまうなんてのは序の口。次から次へと展開していく世界に幻惑されっぱなし。禅問答のような会話にはついていけないものも感じたけれど、それをも凌駕してめくるめくイメージの奔流!こちらの読みが甘く理解の及ばぬ部分もあったけれど、夢のなかでまた夢を見ているような、現実が夢か夢が現実かわからぬような感覚は得も言われぬ体験でした。最後の数章は音読してみたほど素晴らしかった。ファンタジーの源流とされるほどの物はあったかと。そう思うと感慨深い。
読了日:03月30日 著者:ジョージ・マクドナルド,George MacDonald,荒俣 宏
百年の家 (講談社の翻訳絵本)百年の家 (講談社の翻訳絵本)
100年前に建てられた家が時代を経て、様々な人の手が入り、変化していくさまを描いている。絵を見ているだけで楽しく、時間を忘れて見入ってしまった。外国の石造りの家はこんなに時が建っても、残っていけるのだという驚きもあった。
読了日:03月30日 著者:J.パトリック・ルイス,ロベルト・インノチェンティ
トマスと図書館のおねえさんトマスと図書館のおねえさん
本を読む喜びを知った少年と、それを見守るように、本の世界に導いていってくれる図書館のおねえさんがいいな、と思った。あんなおねえさんになりたいものだけれど・・・
読了日:03月30日 著者:パット モーラ
白い花と鳥たちの祈り白い花と鳥たちの祈り
心に痛みを持った人々の話。ちょっといろいろな要素が入り込みすぎているような気もしたけれど、うまくまとまっていた。郵便局員と女子中学生の交流の物語とあったからもっとほんわかしたムードを予想していたが、全く違って読んでて心がヒリヒリ。過去自分が遭遇したあれこれ思い出したりしてた。中村さんのヒーリングの場面ではボロボロ泣いてしまった。少女と義理の父親冬木さんとのやりとりもいちいちぐっとくる。家族とは何か、自分を好きになることとは、とかいろいろ考えさせられた。 魂の解放の物語だった。読後感もよく読んでよかった。
読了日:04月02日 著者:河原 千恵子
シャボン玉同盟シャボン玉同盟
思春期の少年少女たちの、ちょっと不思議なお話。現実にはありえないようなことでも、思春期真っ只中の彼らだったら…と思わせられる。ちょっとのことで悩んだり、舞い上がったり、一喜一憂する十代の彼らの姿は見ていて微笑ましい。
読了日:04月04日 著者:梨屋 アリエ
医学のたまご (ミステリーYA!)医学のたまご (ミステリーYA!)
初めて著者の本を読んだので、まっさらな状態で読みました。YA世代に向けた内容なのだろうけど、含蓄のある言葉があって、大人でも十分楽しめます。ミステリーと言うよりも、主人公の薫君の成長物語みたい。何といってもパパとの関係がいいですね。横書き文章も最初は気になったけど、英文表記があるから、と割り切ったら何でもなくなりました。おもしろかった。
読了日:04月05日 著者:海堂 尊
本からはじまる物語本からはじまる物語
本にまつわる短編集。ごく短い話のなかに作家の本に対する思いを感じとることができる。何より一冊の本で18人もの作家の作品を読めるのが嬉しい。お初の作家もあれば、おなじみの作家もある。内容は様々。本屋、貸本屋、古本屋などが多く出てきてそれも楽しかった。あと猫が登場する話が何作かあって、猫と本って似合うのかな、と思ったり。最初の恩田陸さんから、最後の三崎亜記さんに繋がった、と思えたのも、ちょっと楽しい発見だった。
読了日:04月07日 著者:恩田 陸,今江 祥智,朱川 湊人,三崎 亜記,有栖川 有栖,二階堂 黎人,阿刀田 高,本多 孝好,内海 隆一郎,梨本 香歩,篠田 節子,市川 拓司,石田 衣良,山崎 洋子,大道 珠貴,いしい しんじ,山本 一力,柴崎 友香
桐島、部活やめるってよ桐島、部活やめるってよ
もしも、本当にこの本に書いてあるようなことが現実にあるのなら、ずいぶん窮屈なことだろうな。上とか下とか、何か居場所がなくなりそうで息がつまる。 わからなくもないが…あの人はこういう人だから、と色分けして見ていた、とか。思い当たる節はある。映画部の子たちとか、辛くて見ていられないけど、その世界でだけ彼らは光っていたんだろうな。最後に出てきた彼の方がより鬱屈していると感じた。桐島はどこ? みたいに、中心にいながら欠片も見えないというのも不思議で新鮮。
読了日:04月13日 著者:朝井 リョウ
岸辺の旅岸辺の旅
現実のようで現実でない、夢の世界。愛する人と別れるための旅でした。小説というよりも、いくつものイメージの断片のような印象。 このまま額縁に閉じ込めて一片の絵にしたらどうかと思うような… 小説としては、私には消化不良だったけれど…
読了日:04月15日 著者:湯本 香樹実
南の子供が夜いくところ南の子供が夜いくところ
時代も場所も様々な、南国の島を舞台にした不思議な物語。短編集だけど、それぞれに微妙な繋がりが感じられた。自分の知らぬ間に南国の島に連れ去られたタカシと、タカシと両親を助けてくれた年齢不詳の女性ユナがその中心にいるようで。あちこちに姿を現すが、これからどうなっていくのか? もっと読んでみたい気がした。最後の「夜の果樹園」が不気味な感じがして印象に残った。フルーツ頭の人間が… 絵画として見た記憶があるが、あれは何だったろうか。
読了日:04月18日 著者:恒川 光太郎
太陽のパスタ、豆のスープ太陽のパスタ、豆のスープ
初めて読んだ作家だったけど、よかった。いろいろ日常生活をよりよく生きるためのヒントがあちこちにあった。食べることが毎日を作る、とか流してしまいがちなことが実は一番重要なことだったんだなぁ。生きるための豆のスープ、私も作ってみたい。太陽のパスタは…何だろう?憧れかな?なりたいものへの。違うかもしれないけど。真っ赤なトマトの入った元気の出るパスタかな。
読了日:04月21日 著者:宮下 奈都
図書館へ行こう (岩波ジュニア新書)図書館へ行こう (岩波ジュニア新書)
中学生に向けて書かれているけれど、大人にも通じる内容。とくに、司書など子どもの読書に関わることをしている方は目を通しておいたらよいと思う。子どもを持つ親御さんにも。本の選び方や読書感想文の書き方など参考になる。もちろん図書館好きな方にも。基本的なことばかりだけど、やっぱり基本は大事だと思うので。
読了日:04月24日 著者:田中 共子
倚りかからず倚りかからず
時間がなくて、一読したのみで返してしまったのがかえすがえす残念だ。鮮烈な言葉のなかに時々、見え隠れしている優しさや暖かさのようなものを感じた。手元にもうないので、どの詩がよかったとかいえないけれど、また何か借りて読んでみようと思う。
読了日:04月24日 著者:茨木 のり子
夜のミッキーマウス夜のミッキーマウス
夜のミッキー・マウス、朝のドナルド・ダック、詩に吠えかかるプルートー、ときて、百三歳になったアトム、とくる。何が、とは言えないけど惹かれるものがある。中でも不機嫌な妻が何ともすごい。感覚的なところで持っていかれる。何が言いたいんだろうと、意味を考える前に、音の響きをフレーズの斬新さをいつまでも味わいたい感じだった。
読了日:04月30日 著者:谷川 俊太郎
タイムロック (ターニング・ポイント 3)タイムロック (ターニング・ポイント 3)
シリーズ最終巻。今度の冒険は、千年後の世界にタイムスリップして、中近東の砂漠世界をさまよったり、また現代に舞い戻り、北極で死闘くりひろげたり。相変わらずのジェットコースター小説。ジャックが最後にした選択ははたしてそれでよかったのか?もっと迷うのかと思ったのに、けっこう簡単に決めちゃったので、あれ?と思ったけど。犬のギスコが個人的に好きなのだけど出番が少なくてちょっと残念。最後はほっとした。
読了日:05月01日 著者:デイヴィッド・クラス
銀のらせんをたどれば銀のらせんをたどれば
やっぱり楽しいDWJの世界。前半、何が何だかわからないうちにあれよあれよというまにお話の翼に乗せられて、いつの間にかの大団円。星々と神話の世界に心飛ばして楽しんでしまう。神話層という発想も常人では思いつかないような発想で、真の物語体質のジョーンズさんにしか編み出せないものなんだろう。またこの話の続きを読みたいと思った。おそらくジョーンズさんには、世の中にあふれた物語の数だけバリエーションがあるだろうから。
読了日:05月04日 著者:ダイアナ・ウィン・ジョーンズ
魔使いの過ち 上 (創元ブックランド) (sogen bookland)魔使いの過ち 上 (創元ブックランド) (sogen bookland)
魔王の手先から逃れ、力をつけるため、また新たな師匠について教えをこうことになったトム。厳しすぎる師匠アークライトに、水の魔女モーウィーナの襲撃と、緊迫の展開が。以下、下巻に続く…
読了日:05月04日 著者:ジョゼフ・ディレイニー
魔使いの過ち 下 (創元ブックランド) (sogen bookland)魔使いの過ち 下 (創元ブックランド) (sogen bookland)
光と闇、善と悪とは合い入れないもの。その前提が覆される…。トムの師匠グレゴリーの懸念がついに。明かされた事実は真実なのか?それによって、この世界が大きく変わってしまう可能性もあるだろう。人間は善と悪とを合わせ持つ存在なのだ、とする考え方には大いに賛同する。不完全な状態におかれているのが事実であるのに、グレゴリーのように頑なに悪なる存在を否定するのはどうかと思う。次回作が楽しみ、というか早く読みたいものだ。
読了日:05月05日 著者:ジョゼフ・ディレイニー
僕の明日を照らして僕の明日を照らして
虐待なんて重い内容だと思って身構えながら読んだけど、全然そんなことはなかった。確かに、そういう事実はあって当事者たちにとっては重たいことだったんだろう。けど、それを感じさせない、というか前向きに何とか治そうと努力する主人公の性格がよかったのかもしれない。優しいことと、優しくすることは違う、とか印象的な言葉があった。最後、どうなるかちょっとハラハラしたけれど、読後感は爽やか。やっぱり瀬尾まいこはいいもの書くなぁと思った。
読了日:05月05日 著者:瀬尾まいこ
図書館のヒミツ (図書館が大好きになるめざせ!キッズ・ライブラリアン)図書館のヒミツ (図書館が大好きになるめざせ!キッズ・ライブラリアン)
これを読むと、図書館が好きになる!
読了日:05月06日 著者:二村 健
エンジョイ!図書館 (図書館が大好きになるめざせ!キッズ・ライブラリアン)エンジョイ!図書館 (図書館が大好きになるめざせ!キッズ・ライブラリアン)
調べ学習のコツがわかる! まちの図書館にも行ってみよう!
読了日:05月06日 著者:二村 健
ようこそ、ぼくらの図書館へ! (図書館が大好きになるめざせ!キッズ・ライブラリアン)ようこそ、ぼくらの図書館へ! (図書館が大好きになるめざせ!キッズ・ライブラリアン)
ぼくらの図書館をもっともっと楽しい場所にしよう!アイデア満載。
読了日:05月06日 著者:二村 健
いしっころ―谷川俊太郎詩集 (美しい日本の詩歌)いしっころ―谷川俊太郎詩集 (美しい日本の詩歌)
確かに、おもしろい。詩集を読んでおもしろく思うとは思わなかった。言葉遊びあり、心にしんと響く詩あり… 音読したくなる。小学校の国語教科書でおなじみの詩もある。使われるの、わかる。大人の私が読んでもおもしろいもん! 子どもの目線に立った詩だもの。わかるわかる!あれもこれも好き。声に出して読みたい詩ばかりだった。
読了日:05月06日 著者:谷川 俊太郎,中山 智介
エディのやさいばたけエディのやさいばたけ
自分の畑を作ってもいい? エディと妹のリリーとお母さんとで、野菜畑を作ります。素朴な色合いで、育っていく植物の様子を丁寧に描いています。巻末に野菜の育て方が載っており、ガーデニング初心者にも最適。自分の作った野菜を食べるという、食育にも使えそうな絵本です。
読了日:05月07日 著者:サラ・ガーランド
水草の森 プランクトンの絵本 (ちしきのぽけっと 10)水草の森 プランクトンの絵本 (ちしきのぽけっと 10)
ミジンコなど、プランクトンの絵本というのが珍しい。ミクロの世界を、うっとりするほど鮮明で、透き通った美しい絵で描いてみせたというのがいいですね。写真とはまた違った魅力があるように思います。私たちの知らないミクロの世界は思い切りファンタスティック!覗いてみたら、楽しいかも。
読了日:05月07日 著者:今森 洋輔
すみ鬼にげた (福音館創作童話シリーズ)すみ鬼にげた (福音館創作童話シリーズ)
2010年課題図書。高学年で絵本でも、まぁいいじゃないかと。絵も話を盛り上げる材料になっているし。本を読むのに苦手意識を持っている子にはいいかと思う。実際に奈良の唐招提寺に行く機会があったら、すみ鬼を探してみてもおもしろいだろう。作者の想像力から生まれてきたこのお話。イマジネーションの力はすごい!と、結びつけるのもまたいいかもしれない。
読了日:05月07日 著者:岩城範枝
どこでもない場所 (海外秀作絵本)どこでもない場所 (海外秀作絵本)
想像力の羽ばたきのような、だまし絵の世界。見ているだけで楽しい。規則や規定に縛られた心が解き放たれていくよう…。すべての枠を取り払って、楽しむといいでしょう。頭をリフレッシュできそう。
読了日:05月07日 著者:セーラ L.トムソン
現代の詩人〈7〉茨木のり子 (1983年)現代の詩人〈7〉茨木のり子 (1983年)
現代詩人、茨木のり子さんの詩がたくさん読めてよかった。詩の下に解説があったので、具体的にどういうことかとか、茨木さん自身についての理解が深まったように思う。茨木さんの詩は、平易な言葉で、人間に対する興味を描いた作品が多く、難しいことは何もなくすんなり心に入ってくる。戦時中や戦後をうたったものが多くあり、詩の鑑賞のみならず、過去にあって、今は忘れさられた事件など、詩で歌われることで甦ってくることもあるのだなぁ、と思った。茨木さんが美しい日本語について考える文章も掲載されていて、こちらも興味深く読めた。
読了日:05月08日 著者:大岡 信,谷川 俊太郎
リチャード三世 (新潮文庫)リチャード三世 (新潮文庫)
学生時代にシェイクスピアを読んではいたものの、『リチャード三世』は歴史劇ということで、世界史に疎い私のこと、とてものことにはすべて理解できたとは言い難いです。けれど復讐劇ということになればまた違った様相を見せてきます。呪いが呪いを呼ぶ、ハムレットを彷彿させるような劇運びは楽しめました。リチャード三世は残虐な王という側面だけでなく、何か他に魅力があったのだろうか?解説の最後の言及にふと考えこみました。
読了日:05月09日 著者:ウィリアム シェイクスピア
リリース (teens’ best selections)リリース (teens’ best selections)
リリース、それは義務、不当な束縛などから解放すること。
医者になることを周囲から期待され内心を隠してきた明良も、家事に没頭し、働く母親と弟を支えてきた兄の和也も、亡夫との思い出の家で生きてきたおばあちゃんも、バスケをやりたくて明良のチームに入ってきた小杉も… みんなが願っていた。そして気がつけば回りにはたくさんの自分を愛してくれる人や仲間がいた。気づくことはこんなにも大切なのか。愛おしいほど、胸が熱くなる青春小説。淡々と描かれる文章のなかに真実が隠されている。
読了日:05月11日 著者:草野 たき
ハーブガーデン (物語の王国 10)ハーブガーデン (物語の王国 10)
最初は見かけだけで憧れたり、好きになったりするんだけど、そのうち自分との距離に気づいて落ち込んだり悲観したりする。草野たきさんは、等身大の子どもの心を描くのがすごくうまいです。そしてそれだけでなくて、周囲の大人たちとの関わりを描くのも。本当の気持ちを言えなくて萎んでいく由美の心、それと同じくらい、お母さんの秘められた思いに胸打たれました。涙が自然と落ちるくらい。いいお話を読みました。ありがとう!
読了日:05月11日 著者:草野たき
リキシャ★ガール (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)リキシャ★ガール (鈴木出版の海外児童文学―この地球を生きる子どもたち)
22年度課題図書◇小学校高学年向き
バングラデシュって?リキシャって? あまり馴染みのない国だけど、女の子のナイマの頑張ってる姿は十分共感を呼ぶでしょう。貧しい地域で女性が働くというのがどんなに大変なのか? いろいろなことを考えさせられます。自分の身に引きつけて、考える材料になってくれると思います。
読了日:05月12日 著者:ミタリ パーキンス
点子ちゃん点子ちゃん
22年度課題図書◇小学校中学年向き 点子ちゃんとは、目の見えない、天使のように可愛い女の子だった。目が見えないことが全くマイナスに感じられない、真っ直ぐな性格。そのうえ、帰国子女で、お母さんも亡くしていて、祖父母の家は代々続いた名家で、とてんこ盛りな印象。主人公の一平はおねしょがちょっと心配なだけで性格的にも何も問題なし。明るく爽やかなお姫様?点子ちゃんとの毎日が楽しい。少し物足りない部分もあったが、わかりやすい人物造形にお話の展開と読みやすかった。ただラストの転校生の話は何なんだろうと疑問が残った。
読了日:05月13日 著者:野田 道子
(東書・アクティブキッズ) 10代をよりよく生きる読書案内 海外編 (東書アクティブ・キッズ)(東書・アクティブキッズ) 10代をよりよく生きる読書案内 海外編 (東書アクティブ・キッズ)
この本を読んで、読んでいるようで、読んでないんだなぁ、と思った。9個のテーマに沿って、バラエティーに富んだ作品が選ばれている。また読みたい本が増えて、嬉しい悲鳴あげてるところ。
読了日:05月14日 著者:こやま 峰子
王国の鍵1 アーサーの月曜日―The Keys to The Kingdom王国の鍵1 アーサーの月曜日―The Keys to The Kingdom
現実世界では、喘息持ちで命も危ないような少年が、異世界に入ったら症状が消え…というのはどこかで聞いたような…と思った。その印象はすぐに払拭されたけど。7つに分かれて保管された創造主の遺書を正当な後継者のもとに戻すという設定で、これが最初の一冊。月曜日から順々に巡って日曜日まで?続くんだろうな。まぁまぁ面白かったからいいけど。
読了日:05月18日 著者:ガース・ニクス
王国の鍵2 地の底の火曜日王国の鍵2 地の底の火曜日
1巻から引き続き、ジェットコースターに乗ったようにめまぐるしい展開が次から次へと続き、全く飽きさせなかった。主人公アーサーは順調に?運命を引き受ける、なんていうことはなく、これでもかこれでもかというほど悲惨な目に会いつづける。でもまあ、それもあってこの先を知りたい!という気にもなるのだろうな。地底界のようすも目に浮かぶほど鮮明に描かれていて、ファンタジーとしての魅力的な道具立ても申し分なく、楽しめた。
読了日:05月23日 著者:ガース ニクス
天国旅行天国旅行
心中がテーマの短篇集ということで、暗い内容が続いたけれど、でもやはり、しをんさんの書くものはみな面白い。それぞれ毛色の違う7篇の物語に描かれた様々な愛のかたち。みな救いがあってほしいと、願ってしまう。この中では「森の奥」が希望により近い気がしてよかった。「君は夜」は絡みつくように濃厚な死と腐敗の匂いに嫌気が差しつつもなお読まされてしまう。それもこれも、しをんさんの力、だと思う。短篇集なのに深い。短篇集だからこそ、はっとするほどのものを切り取ってみせるものなのか。“その後”を考えるのもまた一興。
読了日:05月24日 著者:三浦 しをん
光媒の花光媒の花
短編集だけど、だんだん少しずつ繋がっていく構成。はっきりとわかる繋がりもあれば、見えないものも…。最初の方は隠れ鬼のイメージするように暗い印象だったが、話が繋がっていくにつれ、優しいものに変わっていった。ここに出てくる人たちはそれぞれやむにやまれぬ事情で過ちを犯してしまうが、みな本心は優しい人ばかりだったように思う。それぞれ不器用だったり、素直に思いを表せなかったり、あるいは心が繊細だったり、そんなことが原因としてあっての結果だったのだろう。それが最後には、ゆるやかに光に結ばれていった。よかったと思う。
読了日:05月27日 著者:道尾 秀介
ダリウスが飛んだ!ダリウスが飛んだ!
パパが行方不明になり、意地悪なおばさんの家にひきとられたダリウス少年。インガおばさんに酷い扱いを受けてくじけそうになるけど、偶然見つけた古ぼけた自転車を自分で修理しようとして… 次々とまき起こる不幸な出来事にも負けずに頑張るダリウス少年はいいですね! 手を差し伸べてくれる大人たちも。ダイダロスはもちろんだけど、図書館の職員ビカースタフさんがさりげなくよいな、と思いました。
続編があったら、いいな。行方不明のパパを探しに大冒険とか?
読了日:05月27日 著者:ビル・ハーレイ
王国の鍵3 海に沈んだ水曜日王国の鍵3 海に沈んだ水曜日
3巻目。水曜日の冒険は、海洋冒険だんというふうで次から次へと荒波を乗り越えていくがごとき!スリル満点、満足度100%。アーサーもついにここへ来て、肝が座ったのか?前作よりしっかりしてきた。ハウス後継者にふさわしい人物になれた感じ。思わせぶりなラストも心憎い仕掛け。さぁ次はいよいよサーズデイとの対決だ!どうなるのかとても楽しみになってきた。
読了日:05月30日 著者:ガース・ニクス
王国の鍵 4 戦場の木曜日王国の鍵 4 戦場の木曜日
木曜日。アーサーは戦場へー 何が何だかわからないうちに徴兵されて、新兵訓練受けさせられ…一方、骸骨少年の企みを阻止するため地球に戻ったリーフを待ち受けていたのは灰色の染み、グレイスポットと呼ばれる生物兵器の恐怖だった。アーサーは第四の鍵を奪い返せるのか、リーフは…?交互に進行する物語をじりじりしながら読んだ。そして毎度ラストは問答無用で次に引く展開となっている。5巻が待ち遠しい。性格の違うそれぞれのウィルも、次はどんなのがくるのか楽しみだ。あとがきにあった構成の話も面白い。なるほどそんな意味があったのか。
読了日:06月04日 著者:ガース・ニクス
サリーの帰る家サリーの帰る家
古き良き少女小説という風合いで、とてもよかった! 読書の好きなあまり、夢見るサリーと呼ばれていた少女が厳しい現実に立ち向かううちにいろんな出来事にぶつかって、一人前の娘に成長していく、その過程がとてもいい。アイルランドの豊かな自然や風物の描写も…。続編、続々編もあるようなのでぜひ読みたい。サリーは本当に帰るべき家を見つけるのだろうか… 子ども時代から大人へと一歩足を踏み出したサリーの行く末を見てみたい。
読了日:06月05日 著者:エリザベス オハラ
ぼくのブック・ウーマンぼくのブック・ウーマン
2010年国民読書年にちなんだ図書館の絵本。世界にはまだまだ、こんな国があるのだと思った。何の見返りも期待せずに、本のない地域に一冊一冊本を手渡す仕事。これこそ本物の図書館員の仕事だと思った。
読了日:06月05日 著者:ヘザー ヘンソン
図書館ラクダがやってくる―子どもたちに本をとどける世界の活動図書館ラクダがやってくる―子どもたちに本をとどける世界の活動
こちらも同じく。図書館にちなんだ本。世界中の、本を待ち続ける子どもたちに本をとどける活動を国ごとにそれぞれ解説している。子どもたちはみな本が大好き。本を読む表情がとてもいい。日本はこんなに豊かなのに、これほどまでに本を待ち望む人々はいるのだろうか。子どものうちは多少読んでも、大人になっても本を読み続ける人は少数派のような気がする。物は豊かだけれど、心は…? 国民読書年だとか言っても、そこのところがなおざりだったとしたら、何にもならないんじゃないかと思った。
読了日:06月05日 著者: