「バビロンまでは何マイル 上・下」ダイアナ・ウィン・ジョーンズ

やっとこれを読むことができました。久しぶりに読んだDWJ。
さすがというかなんと言うか、とにかく面白かったです!


これは『花の魔法 白のドラゴン』の前日譚にあたるそうです。私はこれを読んでないので、いっそのことこっちから、と思って、この本を読みました。
結果として、それはあたりだったかも。
スムーズに次に移行できるような気がします。

本書のタイトルを見て、まず思ったこと。
「バビロン」って!?でした。
その疑問は読んでいくうちにわかりました。
元ネタはマザーグースだったのですね。私はこの詩は知りませんでした。



「バビロンまでは何マイル?
 三かける二十と十マイル。
 蝋燭の灯で行けるかな?
 ああ、行って帰ってこられるさ。」


このマザーグースの歌に、ジョーンズはオリジナルの詩をくっつけています。それが物語の終盤における、ある魔法に関わることになっていて…

何を持っていかなくちゃいけないとか、いろいろとあって面白かったです。蝋燭の灯で作った道、というのも面白い点でした。まさにここからファンタジーワールドが展開していく、という感じでワクワクしました。


話は、この世界にあるマジドと呼ばれる魔法使いの能力を継承させるために、主人公のルパート・ヴェナブルズが候補者を探すところから、物語の大筋の部分が始まっています。

その前に、大前提として、ジョーンズお得意の、世界というのはひとつだけじゃなくて、何十も無数にある、というパラレルワールドなのだ、というのがあります。

その無数にある世界のなかでも、魔法を信じる世界とそうじゃない世界と二通りに分かれています。
正域と負域とです。いうまでもなく前者が魔法の通じる世界、後者がそうじゃない世界。この話の舞台になる地球はもちろん後者です。


マジドというのは、それら無数にある世界において、ある働きをなしている存在という・・・
主人公のルパートはこの地球、負域世界の担当です。
その彼の師スタンの死によって欠員ができたため、その後継者として、5人の候補者のなかから1人を選ぶために、東奔西走することになったのですが。


その5人を一挙に調査しようと画策して、彼はある場所に彼らを集めることにします。
それがホテル・バビロンだったのでした。

そのホテルではたまたま、幻想ファンタジー大会なるイベントが催されていて・・・5人の候補者はそれぞれの理由から、そのイベントに参加することになったわけです。


その大会中、何とか候補者を絞ろうと苦慮するルパート。
その過程ではしばしば笑いを誘います。なんて気の毒な!って感じで。

この大会のイベント内容がまた面白く。日本で言ったら、これってまるでSF大会ですね。
というかそのものでしょう。そういうところにも楽しみを見つけました。


最初の候補者、マリー・マロリーの魔女踊りにも笑えました。ツキを呼ぶためとかいう…(笑)
その彼女といとこのニック・マロリーとがこのホテルバビロンに乗り込んでくるとこから、また騒動が始まります。
ここからは、もうハッチャカメッチャカで・・・もう、後はおしまいまで読むしかない、って感じでした。


これを初ダイアナ・ウィン・ジョーンズのひとが読んだら、きっと混乱のあまり本を閉じてしまうかもしれない、ですね。通の方ならば、ニヤリと微笑むだけでしょうけど。


ラストでは、また意外な人が現われて。
でもこの人、絶対何かある、ふうな印象だったのですが。
だけど、まさかこんなことになってた、とは!?思いもよりませんでした。


おしまいまで気をぬくこともなく、楽しく読み終わりました。現代ふうに、パソコンなど出てくるところも面白かったですね。マジド用のパソコンとか。いったいどんなんなっているんでしょうねぇ?

次は続編を読む予定です。